ここでは、児童期・青年期の発達について学習します。
児童期の発達
まずそもそも児童期とは、何を指すのでしょうか。
児童期の概要
児童期は6歳から12歳、すなわち小学生にあたる区分です。ここでは、身長や体重が驚異的に変化したり、運動能力の変化が起きます。また、第2次性徴期に突入します。
第2次性徴期…第1次性徴期のように見た目で分かる変化ではなく、性器以外の身体変化のこと。
認知・思考の発達
ピアジェは、思考の発達段階を大きく4つに分けました。
具体的操作期
児童期は、具体的操作期に分類されます。具体的操作期とは、個々の事象は個別のものでなくA事象の変換されたものが、B事象であると認識できることを言います。
小学校の理科の授業で、水の変化(液体から固体や気体など)が起こっても、これは全て水であると認識できるのは、この時期からなのです。
保存性の獲得
他にも、保存性を獲得すると言われています。
前操作期(2歳~7歳頃まで)は、「高さ」によって水の多さが異なると認知していました。つまり、実際は水の量は一緒であるのに、「高さ」のせいで、右のほうが水が多いと認知してしまうのです。
しかし、具体的操作期に入れば、この二つが一緒の水量であることが分かるようになるのです。
脱自己中心性
そもそも自己中心性とは何でしょうか。これは、他人視点の理解が出来ないことを言います。視点が自分に固定されてしまうわけです。有名な実験には「三つの山問題」があります。
例えば、Aの地点からBの地点の状況を答えよといっても、答えられないわけです。
しかし、具体的操作期には「自己中心性」から「脱する」ことができ、他人視点も理解できるようになるわけです。
社会性の発達
児童期の子供は、小学校の入学を契機に、家庭でのタテの人間関係から、学校という新しい社会の中で、ヨコの人間関係を中心とした生活を送るようになります。
小学3年生・4年生になると、急激に仲間意識が芽生え始め、大人からの干渉を受けない集団を作りたがります。これをギャングエイジと言います。この仲間集団は極めて排他的で、同性であることが多いとされています。
青年期の発達
次に青年期について、勉強しましょう。
青年期の概要
「第2の誕生」と呼ばれ、子供と大人の転換期(質的転換期)と言われます。青年期は13歳から22歳にあたるとされます。ここでは、中学生を青年期前期、高校生を青年期中期、大学生を青年期後期とします。
青年期前期
思春期的変化が激しくなります。思春期スパートと言われ、急激な体位の向上と二次性徴が発現します。
青年期では、急激な身体的変化を受け入れ、おとなとしての身体的自己(ボディ・イメージ)を形成していきます。しかし、身体や容姿に関して敏感になる時期でもあります。良い意味でも、悪い意味でも自己への関心が高まるとも言えます。
情緒
情緒は疾風怒涛の時代と言われ、わずかな刺激に対して大げさに情緒を表出したり、統制することが困難になったりする。また、些細な状況の変化に過敏に反応して一喜一憂したり、同一の対象に対して、優越感と劣等感、好意と嫌悪、依存と拒否など相反する情緒が現れ、一貫性に欠けることも多くなる。
このように、青年期前期は情緒が非常に不安定なってしまうことから、緊張や不安を内部に留めておくことが出来なくなることがある。これにより、反社会的行動・非社会的行動への行動化(アウティング・アウト)が起こりやすくなると言われている。
青年期に問題行動が増加してしまうのは、このためです。
社会的発達
まず、青年期前期から大きく見られる傾向として、依存先の変化があります。この対象は、親から友達であり、ホリングワースは心理的離乳と呼称しました。
また、友人関係についても変化が現れます。お互いに深く影響を及ぼし合い、悩みを共有し、理解し合えるような精神的な繋がりを重視した友人選択が行われるようになります。
ただ、友人との適切な距離感を掴むことが出来ずに、ヤマアラシのジレンマに陥ることもあります。
ヤマアラシのジレンマ…近づきたい欲求もあるが、傷つくのを恐れて一定以上は近づけない状態のこと。
学校ストレスと不適応
児童期とは異なり、学校に対してストレスを感じ始めるのも青年期の特徴です。
中には学校不適応となってしまう生徒も出てきてしまうくらいです。学校不適応とは、何らかの心理的要因のために正常な学校生活が出来なくなっている状態を指します。
学校不適応は、反社会的行動と不登校の2つに分類されます。中でも、不登校は年々増加しており、2020年度の調査では、中学校の不登校者数は132,777人いると言われており、これは全体の約4.1%を占めると言われています。
青年期中期
青年期中期(高校生)では、身体的・生理的側面はほぼ安定し、そういった成長は終盤を迎えます。
しかし、当人たちを取り巻く環境は相変わらず激しいものです。
人間関係の広がり・深まり
青年期中期では、前期の「広く浅く or 狭く浅く」から「広く深く or 狭く深く」に変化すると言われています。前期では、表面的な印象で形成されていた友人関係も、段々内面を見て友達を選ぶようになります。
進路選択
人生最初の分岐点とも呼ばれる進路選択を迫られるのも、この時期です。
商業高校生の進路選択は、大学進学が25%、専門学校進学が25%、就職が45%程度とされています。
学校不適応
高校生になると、中途退学と言う選択肢が選べてしまうため、そこからニートやフリーターになるなど、学校不適応も度合いが変わってきます。
若年妊娠・出産
また、若年妊娠・出産なども深刻な問題とされています。2016年までの調査によれば、出産数は減少していますが、人工妊娠中絶の件数は増加の一途をたどっています。
若年妊娠・出産は、身体的負担や精神的負担が非常に大きいので、これが原因で精神病に陥ることも少なくありません。
青年期後期
青年期後期(大学生)では、「自分は何者か」「自分の存在意義は何か」など、アイデンティティを確立せよという発達課題を抱えます。
アイデンティティの確立は基盤的条件
アイデンティティは社会生活を営む上では、基盤的条件、すなわち最低条件だと位置付けられています。このアイデンティティを大学生の間に見つけることが出来ないと、社会人(成人期)になったとき、適用できない可能性があるのです。
モラトリアム
このアイデンティティを確立するための猶予時間(大学生の期間)をモラトリアムと言います。昔は、アイデンティティを確立するためのモデルなどが掲示されていたそうですが、今はそれが不明確になってしまい、より確立が難しくなっていると言われています。